人や社会を恐れずに挑戦してほしい〜琉球frogs15期協賛企業インタビュー〜
今年で15年目という節目を迎えた琉球frogs。
琉球frogs15期の活動を支援してくださっている協賛企業さまの取り組みや協賛に対する思いなどを多くの学生に知ってもらいたく、インタビューを行いました
今回は街クリーン株式会社の赤嶺社長のインタビュー記事です。
街クリーン株式会社
代表取締役社長
赤嶺 太介 さん
成長する場の必要性
ーー本日はよろしくお願いします!早速ですが、街クリーンさんは2022年に琉球frogsの協賛企業に加入しておりますが、赤嶺さんが協賛を決めた理由を教えてください。
まずは、次世代に投資をしてるということが一番ですね。沖縄の学生に投資をして、社会課題の解決策をビジネスにして解決していくという取り組みをやっているところは他にはないなと思いましたし、学生であれば誰にでもチャンスを与えているということ、またそこに本気の学生たちが挑戦しに来ているというところにすごく共感しました。
私自身も次世代に対しての投資の必要性は強く感じていたので。
ーー赤嶺さんが「次世代への投資」への必要性を強く感じているのはなぜでしょうか?
私は、24歳の時にこの会社を引き継いだ2代目経営者なんです。
引き継いだ当時は、起業家精神があったかというと、そういうことはあまりなくて、たまたま親が会社を経営しており、そこに入社したのが引き継いだきっかけです。
経営の経験もないままいきなり飛び込んだので結構大変で、実践しながら会社と成長してきました。ただ、その苦労があったからこそ成長を実感できた部分もあるので、挑戦する場の必要性は強く感じています。
ーー他のインタビュー記事で「社員数を増やし、売上も伸ばす次世代経営者」という記事を拝読したのですが、経営を引き継いだ当時の苦労を教えて下さい。
ずっと何かしら挑戦をしているので今でも苦労はしています(笑)
会社の規模を拡大して大変だったなと感じたのは、いろんな価値観が入ってくることです。
社員数は増えていますが、その社員一人ひとりの価値観に合わせて企業運営をしていくわけではないので、そこを統率する力というのが大事だなと思っています。もちろん、一人ひとりの人権や想いは尊重しながら、企業として向かう方向は一緒じゃないといけないということです。
なので、私は社員に対して「なぜこの事業や業務をやらないといけないのか」という目的や想いを常に話すようにしています。
ただ、伝え方も人によっては100%で受け取ってくれる人もいれば、そうじゃない人もいるので、一人ひとりに合った伝え方、やり方が必要だなと感じています。また、1回言ったら終わりではなく、何度も伝え続けていますね。
「社長ってかっこいいな」からスタート
ーー先ほど、最初は起業家精神はなかったとおっしゃっていましたが、どのように身につけたのでしょうか。
最初は世の中をこうしたいとか遠いゴールを考えていたわけではなく、分かりやすく「社長ってかっこいいな」から始めたんです(笑)
その肩書きが与えられる機会があるのであれば、やりたいなと思ったことがスタートで、いざ代表を引き継いだ後に様々な出会いがあるわけですよね。
その中で自分が代表を引き継いだこの会社が、社会にとって非常に重要な役割を果たしているんだと感じられるようになりました。そこから仕事に対するやりがいだったり、自分自身でこうしていきたいと思うようになり、そうすると自然と起業家精神が身についていったような気がします。
ーー会社を引き継ぐことや、挑戦することに対しての怖さはなかったんですか?
そこはなかったんですよ。
悪くいうと飽きっぽいので、次また次ってどんどん次に行きたくなる性格なので、今でも一つの事業がある程度成功したら他の幹部の皆さんに任せて、私は次のやりたいことをしていますね。
幹部に任せるというのも、私の自己実現のためにただ任せているわけではなく、今後社長になりたいという思いがある人や、この事業を任されることによって、その人自身の自己実現だったり、存在意義や生きがいが見出せるという考えの人は引き上げていきたいですし、多くの挑戦をさせたいと思っているので、そういう人に任せるようにしています。
ーー御社のHPにも社員育成について書かれてましたが、そこにもつながってくるのでしょうか?
そうですね。任せることによって社員の起業家精神にもつながるのではないかと考えています。私が実践で学んできたという経験があるので、まずはやってごらんという感じです。
また、小さな失敗はどんどんさせた方が良いと思っていますし、失敗から考えさせるということが大事だと思っています。
ーー他に社員育成で取り組んでいることはありますか。
先ほども話したように、経営者になりたいような人には、いろんな研修を受けさせたり、僕の実体験の話をしたりもします。
経営のポイントを伝えながら、今の幹部の皆さんには経営者目線を持って欲しいので僕なりの伝え方をしています。伝えるということも数字だけの話ではなく、働く意義だったり、企業の在り方を話しますね。
やっぱり企業は社会に貢献していかないといけないですし、事業としての社会貢献と企業がこの場所に存在するからこその社会貢献もあると思うので、奉仕活動や地域活動に参加してその地域を盛り上げるということも行っています。
最近だと、うちの社員が先生になり小学生を対象に環境教育をしています。教える側って教わる側より大変で、多くのことを学ばなければいけないんですよね。なので、教える場を作って、多くの社員に先生役をやってもらい、多くのことを学んでもらいたいです。
沖縄型の循環経済
ーーこれまで経営されてきたなかで、何か印象に残っている決断はありますか。
最近で言うと、2021年にM&Aをして既存事業を引き取ったんです。ある造園会社の事業継承者がいなくて、どうしようかと迷っていた70代の社長さんがいまして、その方のお子さんも別で事業をやっていて引き取るのが難しいという話がありました。以前から造園会社は一緒に事業としてやりたかったので、銀行さんからの紹介で引き取らせていただきました。
もう一つ和牛の事業も引き取らせていただきました。和牛の事業はコロナの影響もあって引き取る前から赤字事業でしたが、今後は観光も回復していくという見込みもありますし、あとはコストダウンしながら売値を上げていく努力をしています。
ーー造園や和牛事業と離れているようなイメージなのですが、そこを引き取ったのはなぜですか?
当社のコアになる事業って廃棄物処理業、廃棄物のリサイクル事業なんですね。その中で我々が目指しているのは沖縄型の循環経済を構築していくということです。
造園業から発生する伐採した木々は街クリーンでチップ化、堆肥化できますので、それを土壌改良剤として造園業に返すことができます。また、牛の糞尿も堆肥化できますよね。我々は農業もやっているのでそこの畑にその堆肥を使うことができます。
またこれからやることとしては、牛の飼料作りです。牛の餌をつくることで、新たな循環を作っていけないかと模索しているのが牛の事業になっています。一見繋がりのないような事業を関連づけていくということを大事にしています。
僕がいつも考えるM&Aのポイントは、会社にとってシナジーがあるかどうか、コア事業にとってシナジーがあるかどうかです。また、沖縄型の循環経済にどうすればつなげていけるかをイメージしてやっています。
最近だと資源の物価高騰もあるので、外で起こったことに巻き込まれている状態ではなく、極力地産地消できるような仕組みを作ることで、最終的に沖縄の自立に繋がっていければと思っています。
ーー沖縄の自立を意識されているのはなぜでしょう
何があったからということでもなく「沖縄のために」という意識だと自分自身のモチベーションになるんですよね。
経済活動の中で単純に金儲けをするとかではなくて、何かをやることに意義を見出しながら、しっかりと収益を上げたいという想いがあります。
あとは、沖縄の次世代のためにという想いもあります。やっぱり沖縄って貧困などのネガティブな問題も多くあるなかで、僕が手掛けている事業は沖縄のお金が外に出ていくのではなく、沖縄内で地域内で循環させることによってプラスになる形をつくりたいなと思っています。
ーーなぜ「沖縄の自立に貢献する」という思いが赤嶺さんの中で生まれてきたのでしょうか?
劣等感から来てるかもしれないです。私が会社を引き継いだ時代は本土の方々から少し沖縄が低く見られている感覚がありました。そう感じた時に「負けてたまるか!」という気持ちがすごく芽生えました。
もちろん、尊敬できる方々もたくさんいるので「こういう人たちになりたい!」という思いもありましたよ。
ーー赤嶺さんが次世代を育てていく中で一番これを伝えているというワードはありますか?
「視野を広げる、視座を上げる」ということはよく伝えている気がします。意外に視野って狭いんですよね。経営者を育てるためには、多くの方々と出会い、自分自身を磨いてもらい、今見えている範囲ではなくもっと視野を広げて、視座を上げてほしいという願いがありますね。
私自身も人との出会いが学びにつながると思っているので、そこを大事にしてほしいとも伝えています。
人や社会を恐れずに挑戦してほしい
ーー琉球frogsのイベントに参加した際に覚えている印象がありましたら教えて下さい。
目的や存在意義がはっきりしているなと感じました。自分自身が解決したい社会課題をビジネス的な解決手法にどう繋げていくかすごく考えているなと思いました。
あとは、プレゼンテーションに彼らの情熱が現れていたので、すごくトレーニングを積んでるなと思いました。
うちの息子も一緒に参加させてもらったんですけど、同世代のプレゼンテーションを見てすごく刺激を受けていましたよ。
ーーこれから起業しようと考えている学生にエールがあれば教えて下さい。
今もし起業をして失敗をしても大きな怪我にはならないと思うので、そこを恐れずに、小さくまとまらずにどんどん挑戦・前進してもらいたいなと思っています。
まずは常識的目線や固定概念を外して、若い年齢らしく自由な発想を持って、人や社会を恐れずに挑戦してほしいです。
あとは、会社を経営する目的を失わないようにということも伝えたいです。
事業がうまくいくと金儲けに走っちゃうんです。お金を稼ぐことは大事なんですけど、それは結果論であり、社会課題解決策をビジネスとしてやっていった結果が収益につながることが大事なので、そこの意識を忘れずに取り組んでもらえたらと思います。
ーーありがとうございました。
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