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FROGS Corp

社会に価値を生むコンサルティングとは?日本総研大森さんの実践的キャリア〜琉球frogs16期協賛企業インタビュー〜



今年で16年目を迎えた琉球frogs。

琉球frogs16期の活動を支援してくださっている協賛企業さまの取り組みや協賛に対する思いなどを多くの学生に知ってもらいたく、インタビューを行いました


今回は株式会社日本総合研究所 大森充さんのインタビュー記事です。


社会に価値を生むコンサルティングとは?大森さんの実践的キャリア


ーー昨年からfrogsプログラムのスペシャルサポーターとしてもご協力いただいている大森さん、改めて簡単に自己紹介をお願いできますか。

はい。大学院を修了して新卒で日本総合研究所に入社し、主に民間企業を対象にコンサルティングを行っています。


入社時はリーマンショック後ということもあり、事業再生案件が多く、「コストカットして生み出たキャッシュを新規事業に投下する」ことに取り組む日々でしたが、自分には新規事業の開発が合っていると感じ、4年目以降は事業開発分野に専念してきました。


2017年から2019年末までは米国AIスタートアップの日本法人代表を経験した後は、B-Corpなどの社会性のある企業経営を調査・研究し、今は、経営戦略・サステナビリティ・事業開発・マーケティングを専門にコンサルティング業務を行いながら、上場企業やスタートアップ、ベンチャーキャピタルの顧問などをしています。


ーー大学進学の理由や学生時代にはどんなことをしていたかを教えてください。

僕はもともと医学部を目指していたんですが、残念ながら落ちてしまったんです。その他の理系学部への入学も考えたのですが、医学部以外にはあまり興味がなくて、建築や工学にもピンとこなかったんですよね。


浪人して医学部を目指す選択肢もありましたが、そのときの家庭教師の方から「医者になったらみんな医者だから、医者という肩書は個性でもアイデンティティでもないんだよね」って言われたんです。


さらに、「君は医者の家系でもないし、いろんな視野を広げて、それでも医者になりたければ学士編入すればいいんじゃない?とにかく一度進んでみたほうがいいよ」と言われて、「確かにそうだな」と思い、経済学部に進学することを決めました。


その後、学生時代はとりわけ勉強もせずに音楽活動をしたりと好きなことをやっていたのですが、就職活動をしている友達を見て自分も少しやってみようと思い、当時の就職活動ポータルサイトに登録しました。そうすると、そのポータルサイト登録時に「自立しているかどうか」を問う設問があったんですが、「1人で海外に行ったことがありますか?」といった質問に、全くチェックが入れられなくて。


「社会人になるにはもっと自立が必要なんだな」と感じました。それで行ったことない海外に行ってみようと思い、英ロックが好きだったので、ロンドン行きの3週間のフィックスチケットを買って、バックパッカーさながらに旅したのを覚えています。


ーー仕事で海外に行くことも多いと思うので、てっきり学生時代から国際的なのかと思っていました。

いや、本当違うんですよね。しかもその時、クレジットカードを持っていくのを忘れてて、現金も少なくて、出発して2日でお金が底をついちゃったんです。


3週間のフィックスチケットだったから帰る日も変えられないし、「どうしようかな」と。持ってきた本を読みながらハイドパークで野宿も考えましたが、11月で寒すぎて無理だなと。


手持ちの少ないお金で何とかマクドナルドとかでしのごうとしたんですが、「せっかく来たのに何してんだ」と思いました。


それで、思い切って街の人に英語で声かけてお金を借りてみようとしたんですけど、話も通じなくて無視されまくり、だんだん心が折れてきて…。


でも、諦めずに声をかけ続けたら、たまたま日本人の大学院生に出会って、お金を貸してくれて、しかもその人の寮にも泊めてもらえることに。そこから一緒に観光したり、ミュージカルを見たりして、結局とても楽しい時間を過ごせました。


これが僕にとって初めての海外体験で、今でも忘れられない思い出です。


ーーお金のないバックパッカーみたいなことしていたんですね(笑)

海外とかだと想定外のことがけっこう起こるんですよね。


当時の僕は、リアルな「ドラゴンクエスト」をやっているような感覚で海外に行っていて、結果的に、「サバイバル力」や「問題解決能力」が身についたのかなと思っています。


ーーそこから日本総研への入社を決めた理由はなんでしょうか?

その後数社受けて外資系のコンサルティング会社と事業開発を得意とする比較的イケイケなベンチャー企業から内定を頂き、後者を選んで社会人になる気満々でいました。しかし、リーマンショック前で景気が悪化し始めた時期で、元々決まっていた部署から全く興味のない部署への配属が入社前に決まり、「それは違うな」と感じて、就職するのをやめました。


内定を辞退する際、担当者から「変化に対応できない人間は社会では伸びないから、辞退の決断は尊重するけど、変化に対応できる人間になってください」と言われたんです。


その話を聞いて僕は「変化に振り回されるのではなく、変化を起こす人間になりたい」と生意気なことを言ってその場を立ち去りました。かなり可愛がってくれていたので申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、結果的にその内定を断りました。


そこから、大学院に行くか、学士編入で医者を目指すかで悩んでいたとき、大学の教授から「ビジネススクールがあるよ」と勧められ、そこに進学することにしたんです。


ビジネススクールで出会った日本総研の方が病院コンサルをしていて、その方の勧めでインターンで病院コンサルの現場に2週間常駐させてもらい、医療現場の内情を見せてもらいました。


お医者さんが一生懸命働いている一方で、俯瞰して病院経営を見ると、診療科ごとの主張が異なり整合性がとれなくなったり、他方で財務状況がよくないなど、医療をとりまくエコシステム全体に問題があることを知り、「自分が医者になるより、仕組みを改善する方がインパクトが大きいかもしれない」と思うようになりました。


そこから医者への道を諦め、コンサル一本で進む決意を固めました。院卒で複数の内定を頂きましたが、日本総研にした理由としては、自由だったからが一番大きな理由です。


ーー日本総研というより大森さんが自由に働いているという風に見えます(笑)

そうですね(笑)


「経営のプロ」と「経営学のプロ」は違うと思っています。もし学問として理論を学んだり、調査・研究しているだけで経営がうまくいくなら、世の中の経営者全員が成功しているはずです。実際の経営は、理論や知識よりも実践に基づくものが大きいと感じます。


なので僕は、「畳の上の水練」をしすぎないように、実際に海に出て泳ぎながら経験を積むことで「経営のプロ」になれるように意識して来ました。荒波の中で自分なりの考え方やセンスを磨き、そこに経営学や理論を交えて自分なりの答えの出し方ができると、「So What」の示唆が出せるコンサルタントになれるのかな、と思っています。


なので、机上で仕事をするだけでなく、現場での経験を重視し、会社という場所に縛られず、様々な場所で自らが進んで体験し、直接見て学んできました。


僕は現在、「Strategy & Social Value Group」というグループの責任者をしていますが、「社会へ好影響を与えられるよう顧客の成長を支える戦略屋さんになる」ことをモットーとしています。単なる経済的成長ではなく、環境・社会合理性のある経済的成長を、顧客と一緒に達成できたらと思っています。


最近では、コンサルティングというと業界×機能で整理されてしまい、「製薬業界の研究開発の専門です」といった特化型のコンサルタントが増えてきました。それ自体は悪いことではありませんが、僕のグループでは、特定の業界や機能に特化するのではなく、様々な分野で柔軟に対応できる人間となることを目指し、最終的には経営者や経営層(CxO)になってほしいと思っています。


つまり、どの分野もある程度対応できるか、もしくは自分の弱点をカバーできる人を揃える力が重要だと考えています。チームには「自分の得意分野にだけ固執せず、経営全体を支えられる人材を目指そう」と伝えています。


“Do”から始める学び:行動で鍛える即戦力と問題解決力


ーーコンサルタントには様々な分野の知識やスキルが必要だと思いますが、大森さんはどのようにしてスキルアップをしてきたのでしょうか?

僕は小手先のスキルを身に着けるよりは、考え方のベースとなる「基礎体力」を鍛えることをおすすめしています。僕自身、資格は運転免許ぐらいしか持っていません(笑)


経営コンサルタントや企業のCxOを目指すなら、資格取得にこだわらず、考え方のベースを常に持ち、何を聞かれても「自分の考え方で自分なりの答えを出す」ことが重要だと思っています。


目の前の課題に対してすぐに答えを出せるか、そしてその答えが行動に繋がるか。冒頭の海外でのサバイバルのように、予期せぬ状況でどうやって冷静に対処するかが問われます。


こうした力は、本や資格ではなく、経験を通じて鍛えられるものです。だから、チームメンバーには「自分の力で解決策を導けるようになろう」と伝えています。


考え方の基礎体力が整ったら(整いながらでもよいですが)、「やりたいことに遠回りせずやってみる」ことを推奨しています。


例えば、「エンジニアになりたいからプログラミングの教科書を買って読んで学ぶ」のも良いですが、「エンジニアになりたいなら作りたいプロダクトをいきなり作ってみる」「プログラミングを教科書で学ぶより、まず手を動かして試してみる」ってことが大事な気がします。そうすると、学ぶべきことが自ずとわかってきます。なので、学びはPDCAサイクルの「Do」から始めた方が効果的だと思うんです。



ーースキルアップ法の実例があれば教えていただけますか?

僕がよくやっていたトレーニングの一つに、「日経新聞の一面のタイトルだけを読んで、そこから内容を推測する」ということを若いころに良くしていました。


たとえば、「TPP交渉、大筋合意」のタイトルを見て、「TPPって何だろう?日本にどんな影響があるのか?」とまずは自分の中だけで考え、夕方に記事を読んで答え合わせをするんです。こうして、自分の考えを元に答えを導く力を鍛えていました。


今でも、メンバーにはこういったトレーニングを勧めています。「世の中のニュースを見て、自分なりに意見を持つことが大事」と伝えていて、たとえば「自民党総裁選が私たちの生活にどう影響するか」や「ウクライナ危機の行く末と日本への影響」といった問いでも、自分なりの答えが出せるようになることを目指してほしいと思っています。


自分が本当にやりたいことに正直になり、見せかけでごまかさない


ーーfrogsプログラムを運営していると、「社会課題を解決したい」「何かやりたい」と思ってはいるが、まだ具体的に何がしたいのか分からないという学生が多いです。そういった学生たちに向けて、大森さんならどうアドバイスをしますか?

スタートアップ業界でも「ワナビー(want to be)系」と呼ばれる人がいますが、「こうなりたい」「やりたい」と言っているうちは、実際には行動しないことが多いんです。例えば、本当にYouTuberになりたいなら、もう始めているはず。


だから「やりたい」と思うだけで動けないなら「自分がミーハーなだけじゃないか」と自問してみるのも大事です。


もし「本当に何かを解決したい」「社会に貢献したい」と思うなら、とにかくすぐに行動を起こしてみましょう。やってみて課題が見つかったら、調べたり、ロールモデルを探してみましょう。たぶん、その繰り返しが成功への近道です。


また、「就活に有利だから」とか「見栄を張りたいから」といった理由で動くのであれば、それも素直に認めてしまえばいいと思います。


ミーハーでも構いません。重要なのは、自分が本当にやりたいことに正直になり、見せかけでごまかさないことです。かっこよく見せたい気持ちは理解できますが、実際の行動にはもっと泥臭い努力が伴います。


本当に情熱を持って没頭できるものが見つかれば、睡眠を削ってでも取り組めるはずです。


それが見つからないなら、もう一度自分を見つめ直してみましょう。寝てしまうなら、その程度のモチベーションだったと割り切るのも一つの答えです。


時間は限られているので、今はとにかく動いて、色々なことに挑戦してみてください。


ーー大森さんは、社会課題を解決するためにどのような視点やアプローチが大切だと思いますか?

最近、そもそも「社会課題」とは何かを考えることが多いんです。たとえばSDGsには17の目標があり、それをさらに細かく分ければ169の課題があります。しかし、社会課題とは「経済的な利便性を損なわずに解決するべき問題」を指しているんです。


気候変動を止めるには、極論として「みんなが車に乗らない」選択もありますが、現実には難しいです。なので将来のためには、「CO2を出さない車を作る」ことが私たちが向き合うべき具体的な解決策になります。


社会課題解決には、大きな課題を小さく分解し、現実に即した行動に落とし込むことが重要なんです。


また、「社会課題」の「社会」という言葉には、経済と切り離せない関係性が含まれています。日本では、経済が健全に成長することで税収が生まれ、それが福祉や公共サービスの充実につながります。


ただ単に「良いこと」だからといって経済的需要のない活動に時間やお金を費やしても、持続可能な解決にはならないんです。社会課題とは経済的な基盤が成り立つ上で、社会的な価値がバランス良く保たれる状態を目指すものであるべきです。


例えば、東京で普及している電動バイクの事例も、社会と経済のバランスを見直すことで進化してきました。若者の短距離移動のニーズや災害時の移動手段としてのメリットが評価されている反面、環境面や社会面では課題が残ります。


そこで、ガソリン車ではなく電動バイクにし、さらにその電力をソーラーエネルギーに切り替えるなどの工夫が求められます。これは社会課題と経済の利益を両立させようとする一例で、そういった発想を持つことが大事なんです。


また、社会課題を考える際には、複数の視点で捉えてほしいと思います。


例えば「貧困の解決」というテーマだけでなく、捨てられている資源の再利用、雇用創出、環境負荷の低減など、同時に解決できる課題が複数あります。


ビジネスもまた、経済を通して社会課題を解決する一つの手段です。ですから「貧困問題だけを解決する」ではなく、社会課題と経済が相互に作用し、持続的な価値を生む構造を見つけることが、これからの時代に求められるアプローチだと思っています。



ーー大森さん、貴重なお話をありがとうございました!

 


琉球frogs16期による最終成果報告会を実施します!

当日は5組のチームが社会課題を解決するビジネスプランを発表予定です。

学生たちの本気の挑戦をぜひみにきてください🔥

参加申込は上記バナーより!


【琉球frogs LEAP DAY(最終成果報告会)】

場所:沖縄県立図書館(オンライン配信もあります)

日時:11月29日(金)13:00〜17:30

参加費:無料

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